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 〈皆様〉にこうしてお届けするつつましい書物は、〈フォトジェニック・ドローイング〉という新たな技術 art のみを用いて制作された――つまり芸術家の鉛筆になんら助けを借りることなく制作された――いくつかの図版、もしくは画像を出版する最初の試みである。
 「写真 Photography」という言葉はいまではよく知られているので、説明を加えるのは余計なことかもしれない。とはいえ、中にはまだこの技術に馴染みのない人、名前さえ聞いたことがないという人もいるはずなので――なにしろその発見はまだごく最近の出来事にすぎないのだ――概要をざっと説明しておくことにしよう。
 さしあたりここでは、本書の図版が感光紙のうえに〈光〉の作用のみによって獲得されたものだ、ということを述べておけばよいだろう。それは、光学的、化学的な手段のみによって形成され、描き出されたものであり、ドローイングの技術に心得のある人間の助けは少しも借りていない。したがって、言うまでもないことだが、それは通常の図版――すなわち、〈芸術家〉の技量と〈版画家〉の技量とが結びついてはじめて出来上がるような種類の図版――とは、その作られ方において、何から何まで異なっており、似ても似つかないものなのである。
 本書の図版は、〈自然〉の手によって刻印されたものである。今の段階では繊細さや仕上げに難があるとしても、その主たる原因は、私たちが自然の法則をまだ充分に知らないことにある。私たちが今後、写真画像の形成について経験を積み重ね、もっと多くのことを学んでいけば、完成の域にずっと近づくであろうことは間違いない。また将来、写真画像が画像の制作としてどのような水準に到達するのか、確たる予測は行い得ないけれども、確実に言えるのは、それが細部の完全さを得るにも遠近法の正確さを得るにも有益なものとして、独自の領分を見出すことになろうということである。
 本書の〈著者〉は、幸運にも10年ほど前に、〈フォトジェニック・ドローイング〉の原理と実際の作り方を発見することができたのだが、将来きっと多用されようになる〈技術〉の最初の実例はそれが最初に発見されたこの国で出版されるべきだと望むものである。また、〈著者〉は、その同国人の皆様がその心意気を高く買い、これほど特異な〈技術〉を提示する最初の試みにどうしても付きまといがちな瑕疵には眼をつぶってくださるだろうことをいささかも疑わない。この〈技術〉は、まったく新たな製法を用いるもので、これまで利用されてきたいかなるものともまったく比すべきところがないからである。そうした瑕疵が最初の企てで生じることは、実際、当然予想されることである。現時点において、この〈技術〉は、いまだその幼年期を抜け出たとは到底言いがたい状況にある――なにはともあれ、それはまだごく初期の段階にある――のであり、実際に作っていると、迷ったり、困ったりすることにぶつかることが往々にしてある――今後さらに知識が増えていけば、そうしたことも減っていき、やがては消え去ることであろう。この〈技術〉の進歩は、より多くの頭脳がその改良のために動員され、より多くの熟練した手の助けがそのデリケートな製法の操作に用いられるようになれば、もっと加速するであろう。現在そうした熟練工の手が不足していることが〈著者〉にとっては大問題の1つで、そのせいでなかなか前に進めないでいるのである。